孔子は『論語』の中で「貧乏をひがまないことは難しい」と言っている。昔も今も変わらないんだな。お金がないというだけで、何か自分に欠点があるような気持ちになる。一生懸命、みんなと同じように真面目に働いているのに、少しも余裕ができない。努力が足りないのだろうかとさえ思う。
たぶん、それは正しくないんだろう。努力が足りないのではなく、向ける方向が違うのかもしれないし、真面目にみんなと同じようにするだけでは、裕福になれない社会になっていることもあるだろう。社員も派遣もまったく同じ事をしていても、契約形態が違うだけで賃金に差が出てくる。将来への保証や、人間の信用(たとえば、銀行の融資は派遣だと受け付けてもらえないとか)すら差をつけられる。
努力が足りないというなら、私は何もしてこなかったんだろうか。やるべきことは、違ったんじゃないだろうか。静かな夜に考えてみよう。