派遣先の最終出社日

「どこかで見かけたら声をかけてくださいね」
「どこかで見かけたら声をかけますね」

ほんの少しの言い回しの違いなのに、このどうしようもない”距離感”はグミのような硬さで相手との間に立ちふさがる。

そう気付いたことは自分にとって悪いことではないのだろう。昨日、口頭で、メールで、チャットで、何度も使った言葉ーどこかで見かけたら声をかけますね

これまで多くの場面で私は「どこかで見かけたら声をかけてくださいね」と使ってきた。相手に対して”私は心を開いていますよ”との表示だったが、本当にそうだろうか。

相手にアクションを委ねているが、結局は自分から交流を持とうとしていない。つまり自分にとって交流は必要としていないということになる。あれれ? なんか上からだよね、これ。

だけど、そう気付いたのは「声をかけますね」と言った後だった。特に意識せず使っていたから。言い回しが変わったのは、自分が周りの人たちをちゃんと認識していたからだと思う。いいところもよくないところも認識していた。そのうえで自分の立場でモノを言ってきたと思う。

相手を伺うだけの「声をかけてくださいね」から、自分から歩み寄る「声をかけますね」への変化があった。

少なくともこの派遣先で成長したのかな。だから「声をかけますね」と言えたのかもしれない。同じようなことを何度も繰り返す仕事を3年続けた。客観的なスキルは上がらなかったけど、人や文章から伝わる情報の分析は向上したのだと思う。次の派遣先でも活かすかどうかは、自分次第だ。